■前回までのあらすじ
なまらー!鍋島です! |
やまざきさんをインタビューに引きこむことに成功した担当者…
調子に乗って、美味しい料理とお酒を楽しみつつ、めんどくさい話題を振りまくる。
■「かわいい」問題
くまきゅを抱きしめてくれた子がかわいい…きゅーん。 |
そこの代表にもお話は聞いてみたいですね。
今、お忙しいとは思いますけど。
や:あ、良さそうですね。(やまざきさんもご存知の方)
金:そこで男性社員の方がくまきゅに高い反応を示したんです。
男性の方が「かわいい」に対して敏感な場合もあるなと思いました(笑)
海外出張とかで大学のテディベア集めてたりとかして、関心が高かったみたいですが、「かわいい」への情報感度高くて(笑)
目を合わせるとか、色とか、割と参考になるご意見をたくさんいただきました。
や:「かわいい」問題ねー。去年の秋くらいから、僕も別件で「かわいい」問題は考えてて。
金:じゃあくまきゅブログは、「かわいい」に関しては面白いネタ上がると思うんで是非見ていただけると(笑)
や:あはは(笑)で、その時のチームで出した解は「ボケ力(りょく)」だったんですね。
金:「ボケ力」。
や:その時は4人チームだったんですけど、何か違和感みたいなものというか、「突っ込みどころ」みたいのが「かわいい」みたいなのにつながってるという議論がありました。
金:よく言う「隙」みたいなものとかですかね?
や:そういう捉え方もできると思います。
そういうのが合ったほうがコミュニケーションって生まれるのかなと。
「かわいい」って女性の容姿が綺麗とか、そういうのじゃないじゃないですか。
何か、「かわいい」から、ついつい構いたくなるというか、そういうことだと思うんです。
金:なるほど。それは興味深いですね。
や:ああ、いいこと言った。いいこと言いましたよ、これ。
金:教育分野で、ファシリテーションに関する研究や実験があるんですが、ファシリテーションに「矛盾」をもたせるべきかどうかという実験があります。
議論の活性化や所謂「発散」みたいなものを目指した時に、矛盾をもたせるようなファシリテーションと、そうでないファシリテーションのどちらが有効か調べたというような実験だったと思います。
結果を観ると、矛盾を含むほうが議論が活性化するようなんです。
突っ込みどころや矛盾はコミュニケーション活性の一つの手段かもしれないですね。
や:あーなるほど。
うん、で、それは日本人特有なのかは気になりますね。
日本人って前提の共有みたいなのが何となくあるから、少し言えば何となくわかってしまうようなところもあるし。
アメリカみたいな多様な文化背景が場に集まることのほうが多い国でも通用するのかは気になりますね。
後、「ツッコミ」って瞬発力みたいなことろもあるし、日本のような和を重んじる国でどう受け入れられるのかなと思うところもありますね。
金:ボケとツッコミもあるのですが、優位劣位みたいな考え方もありますかね?
や:ボケとツッコミは優劣というよりも、お互いが関係性により成り立つという側面もありますね。
ボケがいるから突っ込めるし、ツッコミがいるからボケられるという。
金:そうですね、まさに関係性ですね。
優位劣位って、割と難しい気もしてて、相手が人間じゃないってところですかね、機械なんで。
自分が優位だとかわいい、というのもある気がしているんですよね。
や:そう思ってるかもしれないですね。人はね。
多少はあれどそういう感覚もあるかもしれないです。
それは、割と主観ですかね…
機械側も育ってきた場合に「合わせてやってる」みたいな考えとか生まれたりするんですかねえ…。
■話は機械の振る舞いから分析する方向へ
金:直接的にロボットが出てくる世界観で言うと、スター・ウォーズのC3POとR2D2があるんですが、人語が話せなくて人型でないR2D2のほうが人気がある。
くまきゅも人の使う言葉を話すと、とたんに可愛くなくなるんじゃないかと思っています。
や:ああ、そうですね、C3POになっちゃうかもしれないですね。
スターウォーズで言うと、いろんな種族が集まっているから言語は「ベーシック(銀河ベーシック)」っていう共通語があるんですよね。
チューバッカって、ベーシックを理解しているんだけど、彼等の民族の誇りから、しゃべらないっていう設定があるそうです。
劇中ではあまりそういう側面が語られないんですけど、「関係性」にそういった物語性があっても面白いですね。
「通じない」だけでなく、そういう「物語性」「理由」みたいなものがあっても面白いのかもしれません。
金:それは興味深いですね。
「返し方」だけから観ると、人口知能だったかの実験で、人間の言った言葉に「~とは?」とか、「どうして~なの?」と返すインタラクション系の実験があったように思います。
人間の反応は多様にわかれて激怒する人もいれば、「ふたりきりにしてくれ」と、人のように扱い、内省に用いた人もいたようです。
おもちゃで自分の言ったことを返しながら、歩いてくるぬいぐるみみたいなものもあるんですけど、対する人間の反応とかも興味深いです。
や:ああ、ありますね!
うざいけど頼むものは美味しい |
や:さっきの、「それって何?」と問いかけてくるのって自己啓発とかの類っぽいですね。
自問自答もあるし、相手の言うことを深掘りする側面もあるし。
金:そうですね。ある意味、自分の振る舞いを他者が真似るかたちで、客観視できるように思います。
や:自分でやってみると、スーパーうざそうですね(笑)
金:ああ、反応は分かれそうです。その時のコンディションもあるし。
(それは自分がうざいっていう自覚なしの発言なんでは…)
や:そうですよー、仏のはーたんでもめんどくさい時はめんどくさいですからねー。
金:大体めんどくさいじゃないですか(笑)
(あ、言っちゃった)
や:なあっ!(笑)
■"ロボット"の存在から考えさせられること
や:ちょっとロボットについても、少し思うこともあるんですけど。僕は石黒先生の話を聞きに行ったことがあって、あの人はやっぱりすごいなと。
尋常じゃないほどの量と質でずーっとロボットのことを考えているんですね。
先生ご自身の体験からの人間洞察もすごいっていうか。
先生はジェミノイドを作っていらっしゃいますが、あれっていろんなことを考えさせられるなと思うんです。
人の生死とか。
金:人の生死…
や:手塚治虫の火の鳥っていう漫画で何度も生まれ変わり、生きるを記憶を保ったまましなければならない話があるんです。
業みたいな、罪を犯したがために生まれ変わりと人生をすごすのが苦行という。
そういう話を読むと、「ある程度生きた上で死ぬ」っていうのは大事かなと思うんですけど、「死ぬ」ってなんだろう、みたいな。
「動かない」「止まる」ってことなのかなとか。
金:生死って目の前に事象としてはあるのに、捉えがたいですよね。
説明がしにくいというか。
先日、バイオアートの展示とトークショーを聴講した際に死んだ後にもDNAを保存して、それを樹木に移植するという話がありました。
スペキュラティブデザイン(問題定期型デザイン)でもあると思うのですが、「何かを残すことによって死後も記憶の中に残る」状態を「生きている」という捉え方をしてました。
逆に言うと「忘れられたら死である」という。
や:そうなんですよ、石黒先生の話も近いものがあるかもしれなくて、他者の中にいる自分自身が含まれている、自分自身の停止だけでなく、他者の中、他者との関係性も含んだ生死っていう観点もあると。
金子さんの中にいる僕も含めて自分なんだという。
金:動いている、止まっている、だけではないということですね。
や:変な話、自分が死んだ後、その辺で野垂れ死のうが、丁寧に埋葬されようが本人には関係なくて、本人の死後、周りの人がどう扱うかというか。
金:壮大な話になってきましたね。
や:収集つかないですね(笑)
金:ああ、まあまあ、そういう「くまきゅの存在」「関係性って何よ」とか、そういうことを考えてからもう一度開発とかは考えたいってことです。
めんどくさいですけどね(笑)
や:ああ、そうですね(笑)
■ここからやまざきさんのめんどくさいワールドに…
めんどくさくなりつつ牡蠣にレモンを絞るやまざきさん |
金:え。
や:人工生命体ってなんだという話なんですけどね。
僕はやっぱり手塚治虫の火の鳥の影響が大きくて。
金:ああ、確かに。私も火の鳥は影響を受けました。
や:火の鳥の中に、地球が人間でなくナメクジに支配されている世界の話があるんですよ。
で、前述の生き続けている主人公が海にタンパク質の塊を入れて生物ができる話があるんです。
金:あ、思い出しました。頭部の大きいナメクジですよね。
や:そうです、そうです。
生命体を生み出してみたら、ナメクジも人間と同じような欲求とか抗争があって、異なる種類のナメクジが戦争をしたりして滅ぶという話なんですね。
金:そうですね、主人公は生命を創りだすという意味で神のような体験をしていると思いました。
や:そうなんです。いろんな神様がいて、段々肉体の意味が陳腐化しているというか。
ナメクジの後も、色んな生命体とかがあるんですけど、やっぱり同様の文明盛衰があって。
想像の世界ですけど、自分の知らないところでそういう生命体が生まれるみたいのがあって、ひょんなところで新しい生命体に会えたら面白いなと思うんですよね。
お前、新しい生命体じゃね?みたいな。
金:おー…。(やまざきワールド全開…)
や:お前、あれじゃね?あれだよ、おお、あれ。みたいな。
金:「あれ」ってそこから来ているんですね(笑)
や:代名詞でしか表せないのいいなあって。
そういうのがいつ何時起きるのか、と。ひたすら妄想してます。
金:楽しそうですね(笑)
や:まあ、それは行き過ぎだとしても、ハードウェア、ソフトウェアの世界でそういう「生命」みたいな捉え方も面白いと思うんです。
もっと人との関係性への影響が大きいというのも一つありかなと。
金:私も人工知能のことをよく知らない間は、人工知能を一つの生命体のようにイメージしていました。
や:そういうのもありますし、人と機械の関係性って簡単に変わらないようにも思うので、第三者的な存在が居ても面白いなと思います。
金:そうですね、関係性があることで、今までと異なる「見出し」みたいなものも面白いと思います。
や:そうですね。後は、「あれだよ、あれ」みたいな対象の生命体が居たとして、やっぱり自分と同じような格好はするんだろうかとか、気を使ってね。
いや、そもそも気を使うのか、使わないタイプなのか、とか。
または、人っぽいイメージでいますけど、人っぽいのか、とか。
人っぽくないけど「お前、あれ?あれなの?」的な(笑)
気付いて欲しい風とか出すのかな、とか(笑)
金:めっちゃ具体的じゃないですか(笑)どこまで妄想してんですか(笑)
■インタビューを終えてみて
唐突に無茶振りしたにもかかわらず、お相手頂き、ありがとうございました!やまざきさんワールドが炸裂で、人工生命体のくだりが最もめんどくさかったです(笑)
石黒先生のインタビュー、実現したら是非ご一緒したいです!