2016年7月11日月曜日

メイカーズインタビュー#4 北構 武憲 さん 前編

■「ゆるくてすいません」から始まるインタビュー…


金子(以下金):えーと、割とゆるくやってんですよ…ほんとにすいません…。


■「ゆるくてすいません」から始まるインタビュー…


ゆるさアピールの中にも写真を撮られる緊張感あっていい
金子(以下金):えーと、割とゆるくやってんですよ…ほんとにすいません…。

北構(以下北):え、ああ、いんじゃないですかね、ゆるいの(笑)

金:ほんと恐縮です。

北:いえいえ。













■普通…


金:今までも結構濃いメンバーにお話伺ってるわけですけど、何だか自分がすごい普通だあって思いました。

  不勉強なだけかもしれないんですけど、なんかもう沼のような()

北:サンプルが偏ってますよね()

金:北構さんも、偏っている()とは思うんですけど、やっぱり文章を書く方なので、お話がすごいわかりやすいなと思ってます。

  エキスパートにインタビューするんで、偏ってていいんですけど、すごすぎてもう…()

  私がゆるすぎて、ちょっと相手になっているのか不安はあります。

北:ああー濃い人達ですもんね。

金:そんな感じです…。



北:ああ、まあ了解です()


■ロボット情報はロボットスタートさんを見ろ(宣伝)


金:で、話は変わるんですけど、先日、コミュニケーションロボットのマッピングしたものを出されてましたね。

  企画を考えるものとしては、ああいうものがあると参考にしやすいので気になるのですが。
北:ああ、カオスマップですね。

  アドテクの業界ではよく使われていて、業界を知るのに相性が良いんです。

  それをコミュニケーションロボットでやってみた感じですね。

  アドテクそのものだとすごい細かくなっちゃうんですけど…。

  成熟してきてますからね。

  アドテクだと、広告を出す側と、広告を作る側と…みたいに役割を切り分けて話をしないと混乱する場面もあって、話しやすくなります。

  全体像を把握しやすくて、商談が進めやすい。

  みんながネット広告のことをわかっている人ばっかりじゃないですからね。

  アメリカではよく作られているみたいです。

金:なるほど。

北:全体像がわかりやすいかなと。

  基本、この手のものは3ヶ月に1度のペースで更新していくことが多いです。

  今回で2度目の更新ですが、そういうペースですね。

金:コミュニケーションロボットでもそれを作ってみたと。

  今でも割と数が多いですね。

北:見ていくと、全体像の把握はできるかなと思っています。

  右がロボットを使うユーザー側、左がロボット制作側、真ん中にロボットが居ます。

  音声や顔などの認識技術とか、適用されている技術も配置してますし、対話エンジンや機械学習のような対話の為の技術も入ってますね。

  ここにV-sidoも掲載されています。

金:なるほど。

  吉崎さんも今井さんもお話したことがありますが、翻訳をだいぶ入れて頂いて、ようやく概略がつかめた感じです。

  でも、こういうふうにマップになってると更にわかりやすいですね。


北:で、開発側と使う側を分けて、更に国内外を入れてみてます。

  わかるのは、日本は人型が圧倒的に多いこと。

金:よく言われていますが、マッピングするとよくわかりますね。

北:ボリュームとかもある程度見えるので、日本の企業が人型やキャラクタでは突っ走っていることもよくわかります。

金:なるほどですね。

北:ユーザーもある程度分類されてます。

  レンタルショップや販売店がユーザーの近いところにいる感じですね。

  アトリエなど展示をするところも入ってきます。
  
一覧表はやっぱり便利で、プリントして使ってくださる方もいらっしゃるようです。

  情報提供も頂いたり出来ますし。

  開発の時も、要素技術が俯瞰できるので、企画を考えやすいと思います。

金:コミュニケーションロボットを対象にされているのは、理由があるんですか?

北:ロボットスタートが対象として考えているのが、一般消費者向け、かつネットワークにつながっているっていうのがあるんですね。

  ああいうマップを作ると、反応があるのがいいですね。

  「コレが入ってない」とか。

  反応があるっていうのは、見ていただいているということだし。

  かつ、開発とか、ギークじゃない人からそういう声が来るといいですね。

  市場がそれだけ育ちつつあるということだと思います。

金:ああ、そういう使い方もあるんですね。

北:UIデザイナーという職種がありますが、その方はパソコンやスマホの画面でどう見せるのか、どう動かさせるのかを考えていたりしますよね。

  そこから将来的にはロボットの振る舞いを考える「振付師」みたいな方が出てきてもも面白いと思うことがあります。

  うちにゲームのシナリオを考えていた会社さんとかもいらっしゃるんです。

  そういうふうにロボットという表現先を得たことで様々な職種が進化するのは面白いですね。

  金子さんは触覚に注目されているようですが、素材を選ぶというのも職業のスキルとして必要になってくるのかもしれません。

金:うーん、それは面白いですね。

北:僕はネット業界の出身ですが、昔にはなかったような面白い仕事がいろいろとあります

  例えば、SEOと言われる「検索をしたら1位に出るようなサイトを作る」仕事とか。

  最初にSEOという職種が出てきた時には、そもそもどういう仕事かがあまり理解されていなかったと思います。

  ロボットに話は戻りますが、僕はPepperをよく観ているので、Pepperを通して物事を見てしまうんですが、振付のセンスってやっぱりあると思います。

  「あの人が振りつけると、Pepperが生きているかのように動く」とか、あるように思いますよ。

  まあ言いすぎかもですけど()

  Pepperの特性を知って振り付けられるとかっていうのはありそうです。

  そういう新しい業界の動きを追うにはカオスマップはとても興味深いですね。

  作っている担当は大変そうですけど、観ていると未来を見せてもらっているようで、僕はそういうの、好きです。

金:なるほど。


■ロボットに身体性や物理性があることで作られる世界


金:偶然なのかな?振付って言葉が出たのは3人目ですね。

北:ああ、なるほど。

金:フィジカルっていうのはロボットの特性ですよね。

  表現が視覚とか聴覚とかだけじゃない、身体性…という言葉でいいのかな?

北:そう考えると、Pepperは現時点では多くの人が知っているロボットだと思います。

  胸の部分にタブレット搭載しているんで、文字情報によるコミュニケーションもできるんですけど…。

  でも身体形状とか、動きで「コミュニケーションしたくなる」感じがあって。文字によるコミュニケーションって本質的じゃない気もするんです。

  言語はまたちょっと違うんですけど…。

  例えば、りんなとのやり取りをPepperとするのは近い気がする。

  ロボットならでは感は薄いですけど。

金:くまきゅの開発ミーティングでも言語はメインじゃなかったですね。

  言語を使っていたとしても、依り代みたいな効果だとか、そういう感覚(体験)を生み出すための手段でしかないですね。

  私は人間の行動観察など、リサーチをすることもありますが、振る舞いって想像以上に表現に情報量が多くて、幅が広いです。受け取る側にゆだねられてる部分も大きくて、情報として伝わらないケースもあるし、心理印象に関しては意図しない反応も返ってくることがあるんですよね。

  くまきゅはそれも踏まえて、振る舞いに寄って体験設計ができて、体験の積み重ねによって世界があるといいね、ということを試そうとしてます。

  吉崎さんとのお話でも、「ロボットのいる世界」「ユーザがロボットと作る世界」が話の中心で、偶然ですが、くまきゅをつくることは世界をつくることになっていて、うれしくも恐れ多いですが、未来的だなと思いました。

  吉崎さんとは規模が違って、いちロボットで挑戦してみるというだけではあるんですけど。

  くまきゅがいることでユーザー側に新しい欲求とか、感情が芽生えると面白いですね。

  気づきレベルでもいいんですけど。

  それがカオスマップの一部として新たに領域が生まれると面白いなと思います。

北:うーん、それを聞くとやっぱり僕はPepperを思い出しちゃいますね。

  Pepperはデベロッパーがアプリケーションを自由に作れるようにしたことで、色んな人が振る舞いとか表現を考えるようになったと思うんです。

  開発環境もオープンだし、ネットにもつながっているし。

  遠隔でもできてしまう。僕はすごいな、と思いました。

  今で丁度1年くらいですかね?

  僕は比較的取材を通じて(個人の関心もありますが)Pepperを見てきたわけですけど、ノンバーバルなコミュニケーションがもしかしたら強みというか、本質かなと思います。

  例えば、アイドルの真似をして踊るPepperアプリがあったら、誰かが真似したりとかして。

  で、映像よりももう少し情報量があるわけですよね。

  アプリストアに並ぶようになったら、振り付けというコミュニケーション手段が普及していくかもしれない。

  コミュニティの形成モチベーションも高まるように思います。

  くまきゅも身体性のあるコミュニケーションでしか表現できない「何か」が面白いですよね。

  各社から出ているくまのぬいぐるみデバイスをいくつか見てきて、どれもかわいいですが、僕にはちょっとぐっと来なかったものもありました。

  もしかしたら、今言ったようなコミュニケーション特性が薄いように思えたのかもしれないです。

金:なるほど。

  最近見たくまは企業ドメインである「通信」に寄ってましたね。

  身体性というよりも、依り代として、思い込みに近い感覚で「誰かっぽい」というのはあると思うんですけど。

  くまきゅは身体性で勝負(なのか?)しているところはあると思います。触覚がスタートだし。

  身体性によるコミュニケーション特性ははPepperに近いのかもしれない。

北:うん。

金:場合によっては、くまきゅに対してぶつけた欲求がフィードバックされてもいいかもしれないという話はしてました。

  吉崎さんとは、欲求の具現化をフィードバックとして返すのは面白いなと。

  もし、対象が、ユーザーが望むように姿を変化させるぬいぐるみだったら、「自分はこういうものが欲しかったのか」と気付く瞬間があるかもしれないですよね、と話してたんです。

北:表現手段ってバリエーションがあると思うので、ロボットを観ていると文字だけに限らなくていいなという考えにはなってきますね。

  文字は文字で表現特性があるだろうけど、限界もあるなと思います。

  色々ありますよね。場の雰囲気とか、目配せとか、暗黙知とか、身体性とか…。

  僕がネットの業界に居たからかもしれないですが…。

  ロボットは振る舞いもそうだし、触覚もあったりするし、そこが可能性を感じる部分ではありますね。

  最近はAmazon EchoとかGoogle Homeとか、音声界隈がだいぶ盛り上がっていたように捉えていて。文字の次の伝達手段がきたので、情報はリッチになっていって、整理されるんだろうなと思ってます。

  無料提供によるデータ分析が、音声の領域に進出してきたなと思いました。

  Googleは文字分野のデータ収集、解析はもう経験値を随分積んだでしょうから、次は音声か、という。

  しかも、iPhoneSiriで喋りかけるんじゃなく、ロボットという媒体のほうが音声によるコミュニケーションは自然に思えますしね。

  使い勝手良さそうです。

  Googleのデータ収集意欲はとどまるところを知りませんから()

  いいソフトウェアとうか、アプリを無料で使えたら、飛びつく人も多いでしょうし。

  画像も含めてデータ収集の横展開が着々と進んでいるなという感じで見てますね。

  いつロボットに来るんだろう、と。

  ロボットも突き詰めていくと、AIのやることと、ロボットのやることと、人間にとって違いがあるのかよくわからないなと思います。

  あまり差がないようにも思えるし。

  でも、Pepperとりんなを比較したら、大差ないなと思う反面、リアルさが違う気もする。

  五感に訴えかけてるって差分を感じます。ちょっと複雑な気持ちなんですけど。

金:うーん、触覚のハッカソンでアイデアを考えた経験を持っている身としては、勝手に分かった気持ちになる部分があります。

  触覚って当時は扱いづらくて、わかってない部分が多いので、視覚や聴覚と同じように表現対象として使いにくいというか…扱いきれないところがあったんです。

  でも、触覚って何かもってて、現実感を与えるのに欠かせない表現対象というか、手段なんですよね。

  視覚や聴覚は比較的解明されていて、視覚だったら、明るさとか、色とか、そういう「視覚に情報を伝えるためのフレーム」みたいなものが存在するんです。

  聴覚だったら、音、音声、高低、周波数みたいなものがあります。

  でも、触覚って、振動くらいで、温度とか痛みとか、あんまりつかわれない。

  振動も、情報を伝えるフレームとして、曖昧すぎると思うんです。

  ブルブルした…何の情報だとうけとめればいいのか?みたいな。

  視覚だったら、赤い矢印だと「矢印の方向が目的地です!」「行け!」みたいな理解できるレベルの情報伝達になっている。

北:なるほど。規格がはっきりしてるってことですかね…。

  触覚が不自由の方のための矯正器具ってないですしね。視覚矯正にはメガネがありますけど。

金:触覚も力覚も結構情報伝達手段としては曖昧なんですが、可能性は広がってるなと思います。

  矯正って規格があって初めて矯正というのができるわけですが、触覚は規格にすべきよりどころが解明されてないことが最近分かってきたらしいんですよね。

  脳は結構リッチな情報をうけとって処理しているはずで、「現実感」「コミュニケーション性の高さ」を表現していくんだったら、仰ったような「身体性」「五感」「現実味」みたいなものは外せないように思います。

北:なるほどですね。

金:私はデザインリサーチと呼ばれる仕事をしているわけですが、「新しい価値」を見つけて、それを体現するアイデアに結びつけることを支援しています。

  価値はみつけられても,表現手段に適切なものがないと、やはり残念な結果になってしまうので、こういった表現手段の模索は重要に思います。
ハグに素振りという概念が存在することを教えていただきました

北:ああ、そうだったんですね。面白そうです。

金:触覚のハッカソン、ショッカソンには割と軽い気持ちで行ったんですけどね…大学の先端研究が見れる!みたいな。

  でも、どっぷりはまってしまいましたね…(がっくり)

北:あはは()

  未来的ですね。

金:ああ、チームの皆さんが突き抜けてるので…。


北:普通のフリしてますね()

金:えっ。



■後編へ


インタビュアーが変人扱いされたところで、次回は実際にくまできゅっとされていただきます!


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